惑星はなぜ逆行して見えるのか

惑星が実際に逆向きに動いたことは一度もありません。逆行は視線の効果です。地球と惑星は別々の軌道を同じ向きに、異なる角速度で進んでいます。地球が内側から追い抜くとき、その惑星は背景の星々に対して後戻りするように見えます。下のタイムラインを動かして、そのループを自分で描いてみてください。

2つの図が示していること

破線は地球からの視線です。外周に達した点が、その惑星が星空で見える位置になります。

次に右の図です。その視線が背景の星々のどこを指すかが、惑星の見える位置になります。地球が外惑星を内側から追い抜くとき、あるいは内惑星が地球を追い抜くとき、視線の振れる向きが反転し、経路は折り返してループを描きます。色が変わる2点が「留」、つまり黄経の変化率がゼロを通る瞬間です。

横軸が黄経、縦軸が黄緯で、両軸は同じ縮尺です。線の色が変わるところが「留」——向きが反転する瞬間です。

原点を地球に移すと周転円が現れる

位置はまったく同じで、原点を太陽から地球へ移しただけです。破線の円が導円、オレンジの円が周転円。赤い曲線は地球から見た惑星が実際に描く経路です。

「地球中心」に切り替えても、惑星の位置は一つも再計算されていません。起きているのは、地球が中心に来るように図全体を平行移動させること、それだけです。プトレマイオスの周転円は別の理論の道具ではなく、この引き算——惑星から地球を引いた——の形そのものです。

つまり周転円モデルでも逆行はきちんと再現できます。地動説と同じ幾何で、原点の選び方が違うだけだからです。地動説が勝ったのは周転円が間違っていたからではありません。原点を移した瞬間に周転円がすべて消え、あとには惑星それぞれの楕円だけが残る——それが理由です。

ここで描いているのは理想化した周転円モデルで、地動説と幾何的に等価なものです。プトレマイオスが実際に用いたものではありません——『アルマゲスト』には離心円やエカント(equant)など一連の補正があり、本ページでは実装していません。

逆行タイムライン

一本の帯が一回の逆行です。どれかをクリックすると上の三つの図がその周回へ移ります。空白部分をクリックした場合は日付だけが動きます。

1800〜2050 年の 250 年間で、各惑星が逆行して見える時間の割合:

星空上の見かけの経路

時間を動かす黄経の変化率星空上の見かけの経路
t₀> 0 度/日順行中
t₁0 度/日順行中 → 逆行中
t₂< 0 度/日逆行中
t₃0 度/日逆行中 → 順行中
t₄> 0 度/日順行中
よくある質問

惑星は逆行中に本当に向きを変えるのですか?

まず左の図です。惑星も地球も太陽のまわりを一方向に進むだけで、どちらも止まったり逆走したりはしません。変わるのは破線——地球から惑星へ向かう視線の向きだけです。

外惑星はなぜ衝の前後に逆行するのですか?

だから外惑星の逆行は必ず「衝」の前後に、内惑星の逆行は「内合」の前後に起こります。ちょうど両者が最も近づき、視線が最も速く振れるときです。左の図で確かめられます——逆行のあいだ、2つを結ぶ実線は最も短くなっています。

逆行は占星術の解釈と関係がありますか?

ここで述べているのは幾何であって、影響ではありません。逆行・留・順行はいずれも見かけの現象を表す標準的な天文用語であり、地球上の出来事に作用するものではありません。

関連ツール: 衝と合 · プトレマイオスの体系と地動説 · 太陽系オーラリー

軌道要素は NASA/JPL「Keplerian Elements for Approximate Positions of the Major Planets」(Standish & Williams, 1992)より、有効範囲は 1800–2050 年。位置は幾何位置で、光行時と光行差は含みません。黄道面の教材図であり、望遠鏡の視野の再現ではないためです。

インタラクティブな逆行教材には先行例があります:ネブラスカ大学(NAAP)、Foothill AstroSims、ニューメキシコ大学、SimuFísica、福井大学 NoA、Marble Cafe、jsOrrery。本ページはそれらのコードを使用しておらず、計算と描画は独自に実装しています。