潮汐:地球・月・太陽の配置から海面変化を読む

海辺で一日過ごすと、水位がゆっくり上がり下がりする様子が分かります。一か月続けて見ると、満潮と干潮の差も規則的に広がったり縮まったりします。主な力を及ぼすのは月で、太陽も加わります。両者の位置関係によって起潮力が強め合うか一部打ち消し合うかが決まり、地球の自転と海盆の地形がそれを地域ごとの潮位と潮時に変えます。下の運行図で三天体の配置を見てから、大潮・小潮と港の潮汐表の読み分けへ進みます。

起潮力は地球各部に働く重力の差で決まる

月は海水、陸地、地球中心を同時に引きます。月に近い側の加速度は中心よりわずかに大きく、反対側はわずかに小さくなります。地球中心と共通する加速度を差し引くと、近い側は月へ伸び、遠い側は相対的に遅れるため、両側に一つずつ隆起が残ります。一地球直径の間で重力がどれだけ変わるかを表す量が重力勾配です。

太陽が地球全体を引く力は月よりはるかに大きいものの、距離は約 1 億 5000 万 km あります。そのため地球の近端と遠端で生じる差は小さく、近くにある月の重力勾配が潮汐を主に支配します。平均距離では、太陽の起潮力は月の約 46% です。潮差を変えるには十分な大きさです。

起潮力は天体の質量が大きいほど強く、距離が増すと急速に弱くなります。距離は三乗で効くため、月が遠地点から近地点へ移ると、距離の変化が全体の一部でも起潮力ははっきり増加します。

二つの隆起と約 24 時間 50 分の太陰日

地球が一様な海で覆われていると仮定すると、地球・月を結ぶ線の両端に隆起ができ、そこから 90 度離れた所が谷になります。地球の一点は自転によって一太陰日の間に二つの隆起と二つの谷を通り、理想上は高潮と低潮を二回ずつ経験します。平衡潮の図は周期を読むためのもので、実際の海が整った楕円形のまま回るわけではありません。

地球が回っている間にも、月は一日約 13 度東へ進みます。同じ経線がもう一度月を向くまで平均約 50 分余計にかかるため、太陰日は約 24 時間 50 分です。主要な月半日周分潮 M2 の周期は約 12 時間 25 分で、多くの港で潮時が日ごとに遅れる基本周期になります。

沿岸で必ず同じ高さの高潮と低潮が二回ずつ現れるわけではありません。観測点は半日周潮、日周潮、混合潮に分かれ、連続する二回の高潮が大きく異なる場合もあります。大陸、海底地形、コリオリ効果、摩擦、海盆共振が潮汐波の経路を変え、多くの海では無潮点の周囲を回ります。

大潮と小潮は潮差の大きさを表す

新月では月が地球と太陽の間にあり、満月では地球が月と太陽の間にあります。どちらも三天体がほぼ一直線となり、月潮と太陽潮の長軸がそろいます。合成すると平均高潮は高め、低潮は低めとなり、潮差が広がる時期が大潮です。年最高水位が必ず含まれるとは限りません。英語 spring tide の spring は湧き上がるという意味で、季節とは無関係です。

上弦と下弦の頃、地球から見た太陽と月の角度は約 90 度です。太陽潮の隆起が月潮の谷に近い方向となり、二つの成分が一部打ち消し合います。高潮は低め、低潮は高めとなって潮差が縮まり、小潮になります。月の起潮力は残るため、潮の満ち引きは続きます。

平均朔望月は 29.5306 日です。新月から満月、満月から次の新月まではそれぞれ約 14.765 日で、大潮配置も同じ間隔で現れます。小潮配置はその中間の約 7.383 日後です。海盆の応答には時間がかかるため、観測点の最大・最小潮差が月相より一日から数日遅れることがあります。この遅れを潮齢と呼びます。

同じ大潮でも潮差は毎回異なる

月軌道の離心率は約 0.055 で、近地点と遠地点の距離には数万 km の差があります。起潮力には距離の三乗が効くため、新月または満月が近地点付近に重なると月の起潮力が平均より強い近地点大潮になります。報道で使われる king tide は特に高い天文潮の時期を指す通称で、厳密な天文学分類ではありません。その語だけで浸水の有無は判断できません。

地球の公転軌道にもわずかな離心率があります。一月初めの近日点付近では太陽起潮力が少し強く、七月初めの遠日点付近では少し弱くなります。月までの距離による変化より小さいものの、月相、月の近遠地点、観測点固有の分潮と合わさって大潮ごとの差を作ります。

さらに長い周期として、固定黄道座標における月の近地点方向は約 8.85 年で一周し、軌道交点は約 18.6 年で回帰します。JPL 表の 5.997 年は、移動する交点に対する近点引数の周期です。本ページのエンジンは近点引数と交点を別々に進め、合成して固定座標での近地点方向を得ています。月赤緯の変化は日潮不等を生み、長周期は観測点の潮差をゆっくり変調します。完全な月の摂動と観測点調和定数は計算していません。

模型の日付と港の潮時は分けて読む

月と太陽の起潮力が基本周期を作り、港の水位は潮汐波がその海岸まで届いた後に現れます。波は大陸を回り、海峡を通り、水深に応じた速度で進み、海盆では共振することもあります。月の南中、新月・満月の時刻、図の隆起が向く経度のいずれも、その港の満潮を直接示しません。

観測点予報は長期間の水位記録をもとにします。記録を M2、S2、K1、O1 などの分潮に分け、それぞれの振幅と位相を求めて足し合わせます。従属港では時刻差と潮高の補正が必要な場合もあり、近接する港でも満潮時刻は異なります。

潮汐表が主に扱うのは天文潮です。向岸風は岸側に水を寄せ、低気圧、河川流量、うねり、高潮も予報と実測の差を広げます。台風警報、海岸閉鎖、現地の悪化がある場合は公式情報と現場規制に従ってください。

大潮はその時期の潮差が大きい傾向、小潮は小さい傾向を示します。ある瞬間の潮位、流速、波高を表す語ではありません。干潟、潜水、釣り、航行では、潮位、潮流、波、天気、海岸地形をそれぞれ確認します。

読み分け:日付前後の潮差傾向はこの課で確認し、観測点の満潮・干潮時刻と予報潮位は潮汐ページで調べます。行動時刻は観測点予報、安全は現況と公式警報に基づいて判断してください。

二つの違う角度

惑星軌道傾斜角面から離れる最大の高さここから見た最大のずれ
水星7.00°0.05 AU≈ 5.0°
金星3.39°0.04 AU≈ 8.6°
海王星1.77°0.94 AU≈ 2.0°
よくある質問

なぜ月は地球の両側に潮汐隆起を作るのですか?

月は海水、陸地、地球中心を同時に引きます。月に近い側の加速度は中心よりわずかに大きく、反対側はわずかに小さくなります。地球中心と共通する加速度を差し引くと、近い側は月へ伸び、遠い側は相対的に遅れるため、両側に一つずつ隆起が残ります。一地球直径の間で重力がどれだけ変わるかを表す量が重力勾配です。 太陽が地球全体を引く力は月よりはるかに大きいものの、距離は約 1 億 5000 万 km あります。そのため地球の近端と遠端で生じる差は小さく、近くにある月の重力勾配が潮汐を主に支配します。平均距離では、太陽の起潮力は月の約 46% です。潮差を変えるには十分な大きさです。

大潮と小潮はどの月相で起きますか?

新月では月が地球と太陽の間にあり、満月では地球が月と太陽の間にあります。どちらも三天体がほぼ一直線となり、月潮と太陽潮の長軸がそろいます。合成すると平均高潮は高め、低潮は低めとなり、潮差が広がる時期が大潮です。年最高水位が必ず含まれるとは限りません。英語 spring tide の spring は湧き上がるという意味で、季節とは無関係です。 上弦と下弦の頃、地球から見た太陽と月の角度は約 90 度です。太陽潮の隆起が月潮の谷に近い方向となり、二つの成分が一部打ち消し合います。高潮は低め、低潮は高めとなって潮差が縮まり、小潮になります。月の起潮力は残るため、潮の満ち引きは続きます。

この図で今日の満潮時刻が分かりますか?

月と太陽の起潮力が基本周期を作り、港の水位は潮汐波がその海岸まで届いた後に現れます。波は大陸を回り、海峡を通り、水深に応じた速度で進み、海盆では共振することもあります。月の南中、新月・満月の時刻、図の隆起が向く経度のいずれも、その港の満潮を直接示しません。 読み分け:日付前後の潮差傾向はこの課で確認し、観測点の満潮・干潮時刻と予報潮位は潮汐ページで調べます。行動時刻は観測点予報、安全は現況と公式警報に基づいて判断してください。

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軌道要素は NASA/JPL「Keplerian Elements for Approximate Positions of the Major Planets」(Standish & Williams, 1992)より、有効範囲は 1800–2050 年。位置は幾何位置で、光行時と光行差は含みません。黄道面の教材図であり、望遠鏡の視野の再現ではないためです。